クラウド・コンピューティングやモバイルの進展で、わたしたちのコンピューティングの環境はシンプルな方向に向かっています。企業のシステムもより柔軟で効率的な環境をめざして、統合や連携、スリム化に向けた取り組みがなされています。

しかし、多くの企業の現状はまだ混沌としており、企業によっては複雑化が増しているのが現状です。
ボトルネックは、個別最適されサイロ化したシステムや旧システムのしがらみに加え、新しい企業環境に適応できない、旧来型のビジネスプロセスやルールの改変が追いつかないことやIT部門と経営管理、事業部門の組織の縦割り問題などもあるようです。

今回のテーマは、こうした硬直化しがちな組織やビジネスルール、プロセスを変革しシステムそのものを「リ・デザイン」する考え方です。

イノベーションを導くためのビジネス戦略、プロジェクト戦略、ビジネスプロセスの見える化と策定を行うための方法から、ITシステムの構築と活用についての手法と事例を紹介します。

◎基調講演(50分)
リ・デザインとイノベーションの哲学と実践学

慶應義塾大学大学院
システムデザイン・マネジメント研究科委員長・教授
前野 隆司 氏

◎特別講演(50分)
ビジネスプロセスとルールの変革

株式会社 匠BusinessPlace
代表取締役社長
萩本 順三 氏

開催概要

イベント名 IT Initiative Day Vol.30
ビジネスプロセスとシステムの「リ・デザイン」戦略
日時 2013年5月29日(水) 13:00 ~ 17:20 受付開始12:30
会場 ベルサール新宿グランド コンファレンスセンター[会議室]G+H
〒160-0023 東京都新宿区西新宿8-17-1
住友不動産新宿グランドタワー5階
主催 株式会社翔泳社
協賛 株式会社 日立製作所 情報・通信システム社
株式会社アプレッソ
株式会社システムズ
参加料 無料 事前登録制

プログラム

13:00 ~ 13:50 基調講演(50分)
リ・デザインとイノベーションの哲学と実践学

大企業、官僚組織、学校組織など、古き良き高度成長のために最適化された縦割り型ピラミッド組織は、グローバル・ネットワーク社会から置き去りにされている感があります。すなわち、かつて日本を支えた者ほど現代日本の足手まといになっています。この日本の閉塞感を打開するためには、リ・デザインとイノベーションのために、それぞれが根本からその哲学と実践学を再構築せねばならないのではないでしょうか。私は、キーとなるのが「西洋型進歩主義から東洋型循環思想へ」「競争から協創へ」「要素還元思考から”システム×デザイン”思考へ」だと考えます。本講演では、日本社会を新しいパラダイムへ転換するためのこれらの考え方について概説します。

慶應義塾大学大学院
システムデザイン・マネジメント研究科委員長・教授
前野 隆司 氏

東工大卒。東工大修士課程修了。キヤノン株式会社、カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、慶應義塾大学理工学部教授、ハーバード大学客員教授等を経て、現在慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科委員長・教授。博士(工学)。著書に、『思考脳力のつくり方ー人生と仕事を革新する四つの思考法』(角川oneテーマ21、2010年)、『脳はなぜ「心」を作ったのかー「私」の謎を解く受動意識仮説』(筑摩文庫、2010年)、『死ぬのが怖いとはどういうことか』(講談社、2013年)など多数。専門は、イノベーション教育、人間・社会システムデザイン、ロボティクス、幸福学など。

14:00 ~ 14:40 (40分)
SOAの成功と失敗の原因はここにあった

現在の企業ITシステムには、ビジネス貢献とコストメリットの両立に向けたシステム最適化だけでなく、ビッグデータの利活用で新たな価値創造を実現することもIT活用の目的に求められており、企業システムの在り方も日々変化しています。
このような状況の中で、着実なステップアップを踏まえながら、変化に対応できるシステムを構築するために、日立ではBPM観点からのSOAに基づいたシステム最適化を検討するワークショップ活動などを通じて、その知見を培ってきました。
本講演では、この活動で得られた知見をもとにして、SOAによる取り組みでの成功と失敗の原因について考察を行います。その上で、全体最適なシステムを構築するための具体的な取り組みの考え方と、それを実現する手法や日立ができる支援内容についてご紹介します。

株式会社 日立製作所 情報・通信システム社
ソフトウェア開発本部 システム基盤ソリューション部 主任技師
岩佐 元嗣 氏

1992年、日立製作所に入社。ワークフロー製品、EAI基盤製品の設計・開発等に従事。2002年以降、SOA基盤製品「Cosminexus」によるシステム統合・ワークフローなどの導入を支援。現在、「ITプラットフォーム事業本部」にて、BPM/SOA適用推進に取り組んでいる。

14:50 ~ 15:30 (40分)
BPM・EAIの連携による統合プロセスマネジメントの実現に向けて

ERP,BIの浸透が進み、経営状況の見える化はかなり進んできている状況となって参りました。一方、IFRSなどのような、対応すべき制度の変化も激しく、かつ、タブレットやスマホ、クラウドなど、テクノロジーの進化はますますスピードが上がってきています。まさにいま、人間系のプロセスと複数のシステムを柔軟に結合し、経営やテクノロジーの変化に確実かつ迅速に対応できる仕組みを構築していくことが重要であると考えられます。本セッションでは、BPMとEAIを融合させ、変化に対応しやすいSOAを実現するツールについて、事例を交えてご紹介します。

株式会社アプレッソ
営業本部長 兼 ソリューション推進部長
船橋 伸二 氏

外資系ITベンダーでソリューションスペシャリスト、産業別事業部長、エンタープライズソフトエア事業部長、国内大手ソリューションプロバイダーで基幹系ビジネス事業担当、マーケティングセンター長を歴任。現職ではBPMへの取り組みのコンサルティングを提供。提案・導入活動、マーケティング活動を通じて得た、プロセスの全体最適化の重要性を実践的に解説します。

15:40 ~ 16:20 (40分)
レガシーシステム再構築の現場にみるシステム リ・デザインとは?
マイグレーションを活用したレガシーシステムの可視化アプローチを解説

当社は長年「レガシーシステムのマイグレーション」に携わって参りました。こうしたマイグレーション経験を通じて、レガシーシステム再構築プロジェクトの成否は「現行システムを如何に的確に把握できるか」にかかっていると考えます。企業システムのリ・デザインを検討する際にも、現在の事業継続性を担保し、システム化のリスク、コストを最小限に抑える取組みが重要です。そこで当社のセッションでは、マイグレーション技術の応用による現行システムの可視化(分析・ドキュメント化)アプローチについて解説いたします。

株式会社システムズ
マイグレーション事業本部 担当部長
中本 周志 氏

株式会社セゾン情報システムズでファイル転送ソフトHULFTのマーケティング責任者を経て2006年より、システムズにて現職。
マイグレーション事業本部にてマイグレーションの広報・企画推進に従事。システムズのマイグレーションのビジネスを拡げるため、セミナー等での講演活動等も積極的に行なっている。

16:30 ~ 17:20 (50分)
ビジネスプロセスとルールの変革

ビジネス変革を成功させるために必要とされるビジネス戦略の見える化、プロジェクト戦略の見える化の必要性。そしてその中で、チームを構成し、ビジネスプロセスの見える化と策定を行うための方法。さらに、IT活用イメージを形成し、開発計画に落としていく方法について、手法と事例のご紹介をいたします。

株式会社 匠BusinessPlace
代表取締役社長
萩本 順三 氏

1990年~2000年 オブジェクト指向方法論Dropの開発、Javaベースの分散オブジェクト技術HORB2.0の開発リーダなどを勤める。
2000年、豆蔵を仲間と設立。取締役をこなしながら、ビジネスとITを繋げる手法、要求開発方法論(Openthology)の初版バージョン0.6を策定。 同じ志を持つ仲間と方法論を策定し、現場に拘り続け、要求開発の普及を促進する。現在も要求開発アライアンス理事を務める。2009年3月までの3年間、総務省行政管理局技術顧問、内閣官房IT室GPMO補佐官として政府のIT化戦略・実施マネジメント(e-japan)に携わる。
2009年7月7日、IT業界の改革を促進するために株式会社匠BusinessPlaceを設立、要求開発をベースに匠メソッドを開発、ライセンス提供を開始。現在は、IT企業の変革、ユーザ企業のビジネス改革・業務改革、ビジネス企画メソッド、製品企画メソッドを活用したコンサルサービスと教育を提供。

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