関西電力は、電力自由化を背景として1990年代以降、本業であるエネルギーとは異なる事業領域へ積極的に挑戦してきました。この挑戦は当然ながら順風満帆ではなく、幾多の試行錯誤や苦い経験を重ねた結果、情報通信事業、不動産事業が本業に並ぶ事業規模にまで成長、関西電力グループの中核事業として位置付けるに至っています。
現在も、次の中核事業を生み出すべく、新規事業の立ち上げ、M&A、スタートアップ投資、アライアンスなど、積極的にアクションを続けています。併せて、これらアクションの原動力となる環境整備、例えば、試行錯誤を繰り返すことができるしくみ、積極的にはみ出そうとする組織・人を生み出すしかけ等の運用や改善についても継続的に取り組んでいます。
本講演では、関西電力にとってのイノベーションとは何か、イノベーションを創出しつづけるために実践していることは何か、について、歴史を振り返りながらご紹介します。
浜田 誠一郎 [関西電力]
関西電力株式会社
執行役員 イノベーション推進本部 副本部長
関西電力に1993年入社以来、キャリアの大半で新規事業の開発に従事。関電グループの通信事業は、2000年頃よりインターネットの担い手となったFTTHをゼロから急成長させ、関西における戸建シェアNo.1を達成。その渦中でサービス開発・業務設計・経営戦略などを長く深く担当したことがビジネスマンとして一番の原体験となっている。また、急成長する中で発生するさまざまな障害・失敗に向き合い、その辛さと乗り越えたときの楽しさを味わうことで、「成長は七難隠す」を身をもって学び、その後の糧となっている。その成長の楽しさを広めるべく、2020年からイノベーション担当役員として、水素・データセンターなどのインフラ系からモビリティ・旅行・パソコンなどのサービス系まで、幅広い新規事業の立ち上げや推進を担当。併せて、既存のルールを変え新たな仕掛けを作ることを通じて、関電グループ内外を巻き込むオープンイノベーションを活性化させ、失敗を恐れないイノベーティブな企業風土へ変革することにも取り組んでいる。